社会保険労務士試験の受験生の方、こんにちは。
社労士試験 平成28年(2016年)の合格発表が11月11日(金)があり、試験の概況が次の通り公表されています。
●合格者数→1,770名
●合格率→受験者39,972人で4.4%(過去2番目に低い率)
●択一合格基準点&救済科目→42点以上(常識、厚年、国年は3点以上)
●選択合格基準点&救済科目→23点以上(労一、健保は2点以上)
合格者数、合格率をみても非常に厳しい試験であったといえるでしょう。
上記のほか、本年より受験者全体の得点状況や合格基準の考え方が公表されています。裁判の影響と、今年殺到すると予想された開示請求にいちいち対応するのがめんどくさいという理由でしょうか。
一度合格基準点を公表した以上はそれを変更する可能性はかなり低いと思われますので、今後は、この合格基準点に沿って、裁量の余地を入れずに機械的に合否判定を進めることになるのでしょう。
本年の合格率や合格基準点については次の記事で詳しくまとめています。

過去の合格率や合格基準点の推移、平均点、得点分布のまとめはコチラからどうぞ。

さて、ここから先の記事は、9月25日にまとめた選択労一についての所感です。
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社労士受験生のみなさん、こんにちは。
各スクールのデータや予想も出揃ってきてネタが尽きてきたところですのでw、データ抜きで、問題そのものからの選択労一の所感を綴りたいと思います。
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選択労一の所感
今年も午前中のマークシートが配られたときに、真っ先に労一の解答欄を確認にして「また四択かよ~」と思われた方も多かったでしょう。
労一でどんな問題が出されているのか戦々恐々とさせながら、労基・安衛で「専修大学!ストレスチェック!キタコレ!」、労災保険で「基本条文、過労死認定基準、ラクショー!」と受験生の気分を高揚させておいて、雇用で惑わせ、労一で叩き落とすという非常に受験生の気持ちを揺さぶる問題構成であったと思われます。
寒暖の差が激しいと風邪を引きやすいですが、問題難度の高低差でメンタルを削られて、後々に響いた受験生もいらっしゃったと思います。
労一のABCは平成23年就労条件総合調査の労働費用に関する問題でしたが、「労働費用」という項目の調査は5年に1回やるので最新といえば最新です。
ただ、労働経済というとその年に発表されたデータから出題されるのが一般的ですので、事前に知識として準備できていた受験生は殆どいなかったと思われます。
結果、ABCは自身の中の経験や他の知識を総動員しての勘で解かざるを得なかったわけですが、合否のかかった本番という極限状態の場で正解につながる勘を働かせることができるかどうかは、やはり運によるところが多いと言わざるを得ないと思います。
Aについては、「労働費用に占める現金給与総額の割合」の正確な定義は横に置いておくとして、「給与明細の手取り割合」をイメージされた方は④(8割)を選べると思います。
一方で、上司から「人件費は給料の2倍で考えろ」と言われていたりすると③(5割)だと思ってしまいます。管理職や事業予算を組む立場の方ほどその傾向が強いのではないでしょうか。
Bについては、B自体も正解は難しいですが、Aで最初8割を選んでも「Bの解答と合計したら10割超えるやんけ!」消しゴムゴシゴシ・・とAの解答を変えてしまうという罠まで仕掛けられています。
Cについては、保険料率は厚年が一番高いと閃けば解けるということで、一番取りやすいとはいえ、最初に「健保の方が標準報酬の上限高いやんけ!」と閃くと健保を選んでしまう罠があります。
給与明細の控除額は見れば、確かに厚年保険料が一番高いですが、毎月のほぼ変わらない額の給与明細の中身を確認して、控除額の内訳までチェックする人はサラリーマン全体の1%もいないでしょうw
Dについては、推定=ざっくり計算ということで労働力調査を閃くことができればラッキーですが、雇用者数って書いてあるから雇用動向調査かなと思っても無理がないことです。
Eについては、職場に労働組合があると「あんま活動しているようにみえへんな。3分の1くらいやろ」という皮膚感覚で選べたかも知れませんが、職場に労働組合がないと、「全体的に減っているからこそ頑張って勧誘活動をしているに違いない!」と想像して3分の2を選んでしまいそうです。
今後の試験制度について
今回の選択労一は非常に厳しい問題で、この問題で基準点以上の得点を取られた方は素晴らしいと思います。
と同時に、社労士としての資質を十分に有していても基準点を取ることが難しい問題が出題され、それがただひとつの原因となってこの試験に合格できないという試験のやるせなさを感じています。
選択式は基礎力を確認するための試験という原点に戻って、最低基準点の見直しや、1科目10点にするなどの検討をしていただき、よりよい試験制度の改善を進めてもらいたいと思います。
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