社会保険労務士試験の受験生の皆さん、こんにちは。
社労士試験 平成29年(2017年)の合格発表が11月10日(金)にありました。合格を目指す上で、社労士試験の難易度、合格率、合格基準点や合格基準の考え方をしっておくことは大切なことです。
平成29年(2017年)の社労士試験合格発表の総まとめ【みんな観てる!】
この記事では、平成29年を含めた過去の合格率、択一式合格基準点の推移、選択式救済科目、平均点、得点分布の総まとめをご紹介します。
まずは、過去17年の合格率、合格基準点の推移です。
【本試験】合格率、合格基準点の推移
合格率、選択式の合格基準点は次の通りになっています。
択一式の合格基準点は次の通りになっています。
合格率の最高は10.6%(平成19年)、合格率の最低は2.6%(平成27年)です。
以前は合格率の目安があって上位8%くらいが合格できる基準点を設定する相対基準であり合格率が安定していましたが、この数年の合格基準点はほぼ絶対基準化が進み、難度差による合格率の乱高下が見受けられます。
平成28年の発表後には「合格基準点の考え方」が公開され、今後は合格率の高低にかかわらず、得点データに基づき機械的に合格判定されることが明らかになりました。
次に、基準点の救済基準について確認しましょう。
【選択式】科目別の救済基準
選択式の救済基準は次の通り得点分布によります。
かつ
②1点以下割合が30%以上
これまでもご紹介したとおり、非常に厳しい救済基準です(特に1点以下30%)。
以前は救済基準を満たさなくても、年や科目によって追加補正が行われていましたが、直近の年では行われていないようです。
追加補正は裁量で行われる部分が否めないため、追加補正がない方が公平感はありますが、追加補正がない前提だと、基礎力を試す最低基準点という性格上、厳し過ぎる基準といえるでしょう。
かつ、選択式の救済が発動するかは無勉層の得点状況が多大な影響を与えており、択一上位者が救済を願う科目が救済されず、択一上位者が全く引っかからないような科目が誰得救済されるという逆転現象を生む問題点も抱えています。
【択一式】総得点の補正基準・科目別の救済基準
択一式の総得点の補正基準は次の通りです。単純に昨年の平均点との差で決まります。
②前年度の平均点との差が+0.5点以上→前年度より上げる
・+0.5点~1.4点→1点上げ
・+1.5点~2.4点→2点上げ
・+2.5点~3.4点→3点上げ
※以下同じ法則で上げていく
③前年度の平均点との差が-0.5点以上→前年度より下げる
・-0.5点~1.4点→1点下げ
・-1.5点~2.4点→2点下げ
・-2.5点~3.4点→3点下げ
※以下同じ法則で下げていく
択一式の科目別の救済基準は次の通り得点分布によります。
かつ
②2点以下割合が30%以上
平成27年-28年の本試験データ(平均点、得点分布)
選択式の本試験得点データは次の通りです。
平成27年では、労一、健保は楽々救済基準をクリアし、社一、厚年はぎりぎりクリアしました。一方、労災、国年は1点以下30%以上までわずかに届かず救済されませんでした。もし、労災、国年が救済されていたら、2.6%の合格率は相当上がったことでしょう。
平成28年の分析についてはコチラをご覧下さい。
択一式の本試験得点データは次の通りです。
平成27年には前年との差が-0.3点で、-0.5点のラインを越えることができず、前年から変更無しとなりました。
平成28年の択一式の分析はコチラからご覧下さい。
無勉層とデータの乖離について
選択式の救済発動に関してカギを握るのが無勉層です。救済科目を予想する上で無勉層の得点状況を考慮しなければなりません。こちらについて以下記事でまとめています。
また、各校スクールの予想はスクール層の得点データに基づいており偏りがあります。無勉層が含まれる全体のデータと異なる結果となることをデータの乖離といいます。こちらについて以下記事でまとめています。
以上が過去の本試験データのまとめです。
得点状況の公開が試験制度に与える影響
平成28年の合格発表の注目点として、厚生労働省ホームページにて得点状況が公開されたことが挙げられます。この公開が今後の社労士試験制度に与える影響は大きいと思います。詳しくはこちらの記事からどうぞ。選択式の分析もしています。次の記事をどうぞ。
